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Introducing “Iron” – A New GPS Tracking App for Pebble- English | はぐの秘密基地
1. イントロダクション:Pebbleの思い出と現状
最新のAndroid OSが搭載されたスマートフォン。この数年でスマホは信じられないくらい進化しました。
かつてOriginal Pebbleを腕に巻き、Runkeeperと連携させて初めてのマラソンを走った日のことを、私は今でもよく覚えています。
日差しの中でも見やすい反射型液晶、そして何より、汗ばんだ手でもブラインドタッチで確実に操作できる「物理ボタン」。あの体験は本当に最高でした。
しかし、Pebble TechnologyがFitbitに買収されて以降、状況は大きく変わりました。もちろん、Rebbleの素晴らしい功績のおかげでPebbleというハードウェア自体は生き残り、使い続けることができました。
しかし、連携していたコンパニオンアプリたちは次々と姿を消していきました。
そして、変わったのはエコシステムだけではありません。
Pebble Techの解散から約10年。悲しいかな、私たちユーザーもみんな同じく10歳、年を取りました。。。腹は出て、目は昔ほど見えません。
「あんな機能ないか」「こんな機能が欲しい」と文句を言うばかりの人間にはなりたくなかったですし、何より、初めてマラソンを走ったときのあの素晴らしい体験をもう一度取り戻したくなりました。
なので私は自らの手で、Pebble向けの新しいAndroidコンパニオンアプリを作るという試行錯誤を開始することにしました。
それが、今回ご紹介するGPSトラッキングアプリ『Iron(アイアン)』です。
Iron – Companion for Pebble – Google Play のアプリ
ただのGPSトラッキングアプリでは、Pebbleコミュニティの皆さんが満足しないことはよくわかっています(なぜなら、私も大のPebbleファンだからです!)。
そこで、このアプリにはいくつかの「面白い機能」を詰め込みました。
2026年4月16日に「とりあえずやってみよう」と、Android Stusdioをインストールして開発を始めました。
2. ワークアウトの全行程を、手首のボタンだけで
具体的な機能のお話をする前に、まず初めにターゲットについてお伝えしておきます。
このアプリは「Androidユーザー」であり、マラソンやサイクリング、ウォーキングなどのワークアウト中に「スマートフォンを持ち歩き」、かつ「完全ワイヤレスイヤホンを装着している」方に向けたアプリです。
残念ながら、Built-in-GPS(GPS内蔵)のスマートウォッチだけを腕に巻き、上半身裸で身軽に走り出すようなワイルドな方を満足させることはできません。そんな方はGarminを検討してください。
その代わり、『Iron』を開発する上で私が一番こだわったのは、「最初から最後まで、スマートフォンをポケットから取り出さない体験」です。
走る前にスマホを取り出して、アプリを立ち上げて、GPSを待つ……この時間、結構面倒くさいです。
『Iron』なら、手首の操作だけで全部完結します。
- 準備: ウォッチ側からアクティビティ(ランニング等)を選び、「GPSサーチ」を開始。スマホはポケットのままでOKです。もちろん前回のアクティビティと同じなら、わざわざアクティビティを選択しなくてOK。
- 確定: GPSがロックされると、手首に「ブルッ」と振動が来ます。画面の「READY」を確認したらスタート。
- 集中: 走りながらのラップ確認や、信号待ちでの一時停止も、物理ボタンなら画面を見ずに指先の感覚だけで確実に操作できます。
- 完了: 走り終わった後の「保存」まで、やっぱりスマホは触りません。
思えば約10年前、Original PebbleやPebble Time Steelで「Runkeeper」と連携した時の体験は最高でした。
自分のペースや経過時間が手元でわかり、物理ボタンで確実に操作できる。あの一体感があったからこそ、初めてのマラソンも完走できたと思います。
でも、息を切らしながら走ったあの辛い初マラソンを思い返すと、実は少しだけ不満もありました。
まず、ワークアウトを開始するには必ず「スマートフォンのRunkeeperアプリから」起動する必要がありました。つまり、最初は絶対にスマホを操作しなければなりませんでした。
そして、当時のPebbleにももちろんミュージックコントロール機能はありました。ただ、曲を操作するには一度スポーツアプリからミュージックアプリに切り替えて、操作が終わったらまたスポーツアプリに戻らなきゃいけませんでした。(あんなにゼーゼーと息切れしながら!)
Pebbleを身に着けてマラソンを完走したからこそ気づいた、最高の体験の中にある「ちょっと面倒だった」思い出が、pebble 2 duoを手にしてよみがえってました。
実は、この時のささやかな不満と思い出が、今回の『Iron』にいくつかの「面白い機能」を思いつかせるきっかけになりました。
3. 見たい情報を自由に切り替え。3段構成のウォッチ画面

マラソン中に見たい情報は人それぞれですし、その時の状況によっても変わります。
そこで『Iron』のウォッチアプリは、シンプルで視認性の高い「上段」「中段」「下段」の3段構成にしました。
基本的にウォッチアプリは、Android側から送られてきたデータを表示することに徹しています。
■ 上段:経過時間 一番上のスペースには、ワークアウトを開始してからの計測時間が常に表示されます。
■ 中段:メイン・データ表示(ワークアウト実行中にSELECTボタンで切り替え)
ウォッチ中央の一番大きなエリアです。スマホ側で事前に選んだ項目(最大12種類)を、Pebbleの右側にあるSELECTボタンを押すことで、走りながら自在に切り替えて表示できます。
- 瞬間ペース (PACE): 現在のペース(1km/1マイルを何分で走っているか)
- 走行距離 (DIST): ワークアウト開始からの総移動距離
- 累積歩数 (STEPS): ワークアウト中の合計歩数
- 現在高度 (ALT): 現在地の海抜高度
- 心拍数 (HEART): リアルタイムの心拍数(BPM)
- 消費カロリー (CAL): 累積消費カロリー
- 平均ペース (AVG PACE): ワークアウト全体の平均ペース
- 現在速度 (SPEED): 現在の移動速度(時速)
- 現在時刻 (CLOCK): 正確な現在時刻
- 獲得標高 (GAIN): 今のワークアウトでの累積上昇高度
- ケイデンス (CADENCE): 1分あたりの歩数(SPM)。安定した最新値を表示します。
- 4分割画面: 距離・歩数・心拍・時刻の4つの重要データを1画面にギュッと集約して表示します。
■ 下段:リアルタイム統計グラフ 一番下のスペースには、中段のデータと連動した視覚的なグラフが表示されます。これもスマホ側で計算されたデータを受け取って描画しています。
- ペース / 速度グラフ (距離ベース): コース上の「場所」に応じたペースの変化を可視化します。
- 距離グラフ (時間ベース): 時間の経過とともに、どれだけ距離が伸びたかを表示。
- 歩数グラフ (時間ベース): ピッチ(リズム)の安定性を確認できます。
- 高度グラフ (時間ベース): 走ったルートの傾斜やアップダウンが一目でわかります。
- 心拍数グラフ (時間ベース): 負荷レベルの推移を表示します。
- カロリーグラフ (時間ベース): エネルギー消費の推移を表示します。
💡 開発者としてのちょっとしたこだわり
ここで少しだけ、裏側の設計について語らせてください。
- 計算はスマホ、描画はPebble: Pebbleには「送られてきたテキストやグラフを描画する」というシンプルな役割だけを持たせています。複雑な計算やデータの間引きはすべてスマホ側で行うため、Pebbleの小さな頭脳やバッテリーに負担をかけず、結果を正確・迅速にウォッチ画面へ届けられます。
- 単位(キロ ↔ マイル)のリアルタイム変換: キロメートルとマイルの切り替えも、スマホの設定を変えるだけです。スマホ側で数値を再計算して即座にPebbleへ送り直すため、ウォッチ側の設定の不整合を気にせずスムーズに使えます。
- グラフのスケール(X軸)表示: グラフの1目盛りが「何分」または「何キロ」なのか、動的に計算されたラベル(例:「X:5min」など)が画面に表示されるようにしました。走りながらでもグラフのスケールを読み間違えることがありません。
4. マラソンの苦い経験から生まれた、Pebbleならではの「マニアックな機能」
ただのGPSトラッキングアプリでは、Pebbleコミュニティの皆さんが満足しないことはよくわかっています。
なぜなら、私自身が大のPebbleファンだからです!そこで、『Iron』にはいくつかの「面白い機能」を詰め込みました。
実はこれらの機能のアイデアは、第2章でお話しした「初めてのマラソンでの苦い思い出」から生まれました。
当時、ゼーゼーと息を切らしながら走っている最中に、どうしても曲をスキップしたくなったんです。
でもそのためには、一度スポーツアプリから退出してミュージックアプリを開き、操作が終わったらまたスポーツアプリに戻らなければなりませんでした。
体力の限界ギリギリで走っている時に、ウォッチの画面でアプリを切り替えるのは本当にストレスで……。
「もう走りながらアプリの切り替えなんて絶対にしたくない!」という当時の強烈な思いが、以下の機能を実現させました。
🎵 アプリを切り替えない直感的なミュージックコントロール
『Iron』なら、ワークアウト画面を表示したまま音楽の操作が可能です!
タッチスクリーン対応のPebbleなら、画面のスワイプ操作で直感的にコントロールできます。(PebbleOSのタッチスクリーン機能を有効化することと、Androidアプリの設定タブで有効化することを忘れないでください。)
タッチ操作が好きではない場合や、タッチ非対応のモデルをお使いの場合は、物理ボタンの「長押し」に再生/一時停止、前/次の曲の操作を割り当てることも可能です。
あの大変だったアプリの行き来からは、これで完全に解放されます。(Androidアプリの設定タブで有効化してください。)
できたらいいなと思ったミュージックコントロールが動いて本当にびっくりしました。
🤖 Tasker / MacroDroid 連携
もしあなたが自動化アプリのプロフェッショナルなら、ボタンの長押しイベントを「インテント」としてAndroid側に出力し、好きなタスクをトリガーすることが可能です。アイデア次第で、ワークアウト中のPebbleを最強のリモコンに変えることができます。
🎙️ スマホの音声アシスタント呼び出し
自動化アプリは難しそう……という方でも大丈夫です。ボタンの長押しで、スマホの音声アシスタントを直接呼び出せます。ランニング中にボタンを長押しして、「今日の天気は?」「プレイリストを再生して」とお願いするだけです。(ちなみに私自身は、Googleアシスタントから切り替わった新しいAI「Gemini」をアシスタントとして愛用しています!)
さらに、私も今回初めて知ったのですが、アシスタントにお願いするとスマホの標準カメラでシャッターを切ることもできるんです!例えば「10秒後に写真を撮って」と伝えると、自動的にスマホのカメラが起動して撮影してくれます。ランニング終わりにみんなでセルフィーを撮る時や、ちょっとした景色を撮影したい時にめちゃくちゃ便利だと思います。
(⚠️ 注意:Pebbleに内蔵されているマイクからの音声入力には対応していません。アシスタントへの指示は、お使いの完全ワイヤレスイヤホン、またはスマホ本体のマイクに向かって話しかけてください)
ベータテスターがなかなか集まらなかった期間に、たまたま思いついた機能です。
5. オープンソースとコミュニティへの感謝、そしてデータの自由
実際のところ、もし『RunnerUp』という偉大なワークアウトアプリがオープンソースで公開されていなかったら、私はこの開発を絶対に始めていませんでした。
お恥ずかしい話ですが、私はこれまでAndroidアプリを開発した経験なんて一度もありませんでした。しかし、過去にPebbleをサポートしていた『RunnerUp』のGitHubページに辿り着き、過去の開発者たちが残してくれた「Pebbleと連携するための仕組み」の痕跡を見たとき、「もしかしたら自分でもできるかもしれない」と背中を押されたんです。ゼロからではなく、先人たちの知恵と工夫があったからこそ、試してみようという勇気を持つことができました。
その『RunnerUp』の開発者や、これまで貢献されてきたすべての方への最大のリスペクトを込めて、この『Iron』もGitHubにてオープンソースとして公開する予定です。
Android Studioをインストールして三日目。もしかして動かせるかも、と手ごたえをつかみました。この時はまだRunner upを改造しようと思っていました。
また、開発の終盤でPebbleのフォーラムやRebbleコミュニティの皆さんにクローズドテストをお願いしたのですが、そこでいただいたフィードバックには本当に助けられました。
特に「TCXファイル出力への対応」や、「大きな文字での表示対応(私たちPebbleファンもみんな10歳、年を取りましたからね!笑)」といった機能は、コミュニティからのリアルな声があったからこそ実装できた素晴らしいアイデアでした。テストに協力してくれた皆さんに、この場を借りて深く感謝します。
そして、TCXやGPXファイルが出力できるということは、「あなたの記録は、あなた自身のもの」だということです。 『Iron』で記録したデータは自由にエクスポートして、StravaやGarmin Connectなど、あなたが普段愛用しているプラットフォームでそのまま管理・分析することができます。特定のアプリに縛られることなく、データを自由に持ち運べる。これも、先人たちのオープンな文化から学んだ大切なコンセプトです。
Pebble Forumへの投稿はこちらからご覧いただけます。
6. 結び:アプリの今後の展望と、使い方の解説について
私が『Iron』を作った理由は、結局のところ「私自身がこれからもPebbleを長く使い続けたいから」です。
pebbleでできないことがあると、ユーザーが離れる理由になります。ユーザーが離れれば、Core Devices社が儲けられません。そうなると私がpebbleを使えなくなってしまう日が、また来てしまうかもしれません。
最新のスマートウォッチのような派手さはないかもしれません。
でも、あのポチッと押せる物理ボタンの感触や、どんな日差しの下でも普通に見えるディスプレイは、Pebbleならではの魅力です。
OSのバージョンが上がって過去のアプリが動かなくなっていく中で、Pebbleが「引き出しにしまう思い出の品」ではなく、「今でも普通に使える便利な道具」であり続けられるように。そんな思いでここまでやってきました。
さて、アプリ自体は形になってきましたが、私のやりたいことはまだ終わっていません。今後の展望として、密かに挑戦したい機能がいくつかあります。
一つ目は、BLEでブロードキャストできるHRM(心拍計)デバイスのデータ取得への対応です。 早い話が「Fitbit Air」などから心拍データをもらう機能ですね。これが実現すれば、本体に心拍センサーがついていない「Pebble Round 2」などのモデルでも、かなり精度の高い良いワークアウト体験ができるはずだとワクワクしています。
二つ目は、Pebble本体の内蔵マイクの活用です。 現在の音声アシスタント機能はイヤホンやスマホのマイクに頼っていますが、いつかはPebble側のマイクを使えないかと考えています。技術的に本当にできるのかどうか今はまだ全くわからないのですが、もし実現できたら……と夢は膨らみます。
そして、今回このブログでは書いていない「具体的なインストール手順」や「詳しい設定方法・使い方」などの解説記事については、追って順番に作って公開していく予定です!
正直なところ、またCore Devices社がコンテストを開催してくれるのでは?そのころまで公開を待っていればいいことあるんじゃないかと、スケベ心はありました。ただJPさんがコンテストの最後に言っていた“Make Awesome Happen”に則り、すぐに公開することにしました。
この合言葉を胸に、これからもPebbleコミュニティの皆さんの意見を聞きながら『Iron』を少しずつ育てていきたいと思っています。
今後の解説記事と、Google Playでの正式リリースをぜひ楽しみにしていてください!
もしこのアプリを気に入って、応援してくれる方がいたら、以下のリンクから、ぜひコーヒーを一杯おごってください!(ビールでも可能ですよ)
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